専業主婦(夫)になるには①(子持ちで退職を検討中の方へ)

退職
たいせつなもの

 悪いタイトルですね…なんか、怠惰な人間が楽をしようとしているような。でも、現在バリバリのフルタイム正社員で子育てをしている方も、一度は考えたことがあると思います。産休・育休をとってこれから復帰を控えているお母さんも、頭をよぎると思います。毎日が綱渡り状態で、身体がボロボロで、心の中で泣きながら仕事と子育てに追われる毎日が続く…

 でもよく考えたら、結婚前から仕事で毎日綱渡りをしていませんでしたか?普通に1日12時間以上働いていませんでしたか?私は地方公務員でしたが、平時で12~14時間くらい仕事していました。自分自身が健康に生きるだけでも難しいのに、そこに子育てする余地がありますか?無理無理!!絶対に無理!

 もうね、忙しすぎて結婚することすら難しかったのです。土日も仕事していたし。そして、結婚後、上の子を妊娠しても、1日10時間は仕事、通勤時間含めると11時間は外にいました。なんなら、産休期間に入っても労働組合の活動に参加していました。ちなみに、下の子が1歳の4月にフルタイム復帰すると、残業が月100時間超えだったので、私も夫も子どもたちも、どうにか死なせずに生きていたのが奇跡でした。(夫もまあまあ残業のある仕事だったので…)

 ということで、復帰1年目で早くも退職を決意した私は、自問自答し、課題を洗い出し、クリアーしていきました。

その1 そもそもその仕事は自分にとって不可欠か

 私は、「やりがい」で仕事を選んでいたので、若い頃はどんなに辛くても辞めるという選択肢はありませんでした。自分の得意なことで人の役に立ちたかった。本当に、最初は給料が低かったし長時間労働で残業代もなく、パワハラモラハラ言葉の暴力の中での仕事でしたが、自分を必要としてくれる人がいることが全ての原動力でした。今は働き方改革が進み、昔ほどの長時間労働でもなく、年をとって給料もかなり上がりました。でも、「辞めたい」と感じるようになった。もう、それは、自分にとって不可欠な仕事ではないということです。だから、辞めても未練や後悔はありませんでした。

その2 退職しても家計が成り立つか

 いうまでもありませんが、配偶者の収入だけで家計が成り立つことは必須です。持ち家や車があるならそのローンを払い、生活費や子どもの学費を払い、さらに貯蓄ができるかどうかですよね。

 収入面の問題で、退職を断念する人が大半だと思います。世の中の正社員の年収の平均値をとっているといわれる地方公務員ですが、私の職場で家庭を持っていて片働きの人は誰もいませんでした。

 …言い過ぎました。20年近く働いていて、3人ほどいました。が、1人は配偶者が病気療養中の方。もう1人はコロナ禍で配偶者の仕事がなくなり1年ほど片働きでしたが、家計が厳しくなりすぐに復帰したそうです。あとは、シングルマザーもいましたが、親と同居していたので状況が異なります。したがって、子育て中の方はもれなく共働きで、世帯収入は1000~1500万円ぐらいであったと思われます。それぐらいで、やっと周囲と同水準の生活ができることになります。(もちろん、住んでいる地域にもよりますが)

 地方公務員はかなりの役職につかないかぎり、まず年収1000万を超えることはないので、1馬力では子育てが難しいのです。我が家は夫が民間で、転職を繰り返して収入を上げていったので、私の退職が可能になりました。転職後半年は有給がとれないので、その間の負担増は覚悟しなければなりませんでしたが…

その3 家族の理解を得られるか

 収入面をクリアーしても、本当に一番大切なことは、家族(特に配偶者)の理解を得ることです。自分が逆の立場で、配偶者が突然退職してしまい、収入をあてにされて納得できるでしょうか。また、自分が嫌々学校へ行っているときに親が家でだらだらしていて、子どもは納得できるでしょうか。

 私たち夫婦は、お互いに仕事をしている状態で出会い、結婚後も共働きをしていました。つまり、夫は私の経済状況も魅力の1つとして判断し、結婚したことになります。残念なことですが、経済力を失うということは、魅力を失うと同義です。魅力だけならまだしも、尊敬や愛情、信頼関係が損なわれれば、家庭は崩壊します。

 したがって、家族から自分が専業主婦(夫)として家にいる必要性を感じてもらうことが大切です。そもそも、自分が家にいなくても家庭が成り立つなら、仕事を辞める必要がありませんしね。ただ、仕事と子育ての両立には限界があると認識しているのが自分だけではだめです。配偶者にも、困り感を共有してもらわなければ意味がありません。夫婦がフルタイムで働くことで、家庭内で不便を感じる経験が重要です。(当てつけではなく!)そして、「家に自分がいることで、こうすることができるよ!」と提案し、その方が得だと理解してもらうのです。

 さらに、互いの尊敬や信頼を得られるよう生活に気をつけるということは、言うまでもありません。仕事の代わりに自分が選ぶものはのか、自分自身ががしっかり自覚することが大切です。

 私の場合は、2年間の産休・育休期間で2人子どもを産み、復帰後フルタイムで3年間働いたあと、退職の相談を夫にしました。まずは、様子見で時短をとることに決め、2年間時短勤務後の円満退職です。自分の中で退職を決めたのは復帰1年目でしたが、実行までに5年費やしたことになります。家族みんなで死に物狂いになっていたフルタイム、ほんの少し人間らしい生活ができるようになった時短勤務。その違いを家族全員が実感していたので、下の子が小学生になり時短ができなくなるタイミングで私が退職することが最善の選択と受け入れられたのだと思います。

 時短勤務は、給料がかなり減ります。減らした勤務時間の割合以上に手当やボーナスも減額されて、最初の給与明細を見ると愕然とします。何なら、退職金も時短年数に応じて減額になります。実際に減った勤務時間と、仕事量と、職場で失う信頼や収入が釣り合わないのです。ですから、安易におすすめはしませんが、我が家にとっては必要な段階でした。夫も、私の収入が減ることと引き換えに生活が快適になることを実感してくれたので、さらに給料が上がる会社へと転職しました。こうして、結果的に家計の方もクリアーすることになりました。

その4 配偶者死んでも生活が成り立つか

 自分1人で子どもを食べさせていけるかどうか…これは、妊娠出産前にも考えるべきことだと思いますし、親としての永遠の課題です。退職後に配偶者にもしものことがあった場合は、すぐに復帰して家族を養える状態がベストだと思います。この場合、免許や資格をもち専門職で働いてきた人は断然有利ですね。

 また、自分自身の資産を保有していること、配偶者が十分な保障の医療保険および生命保険に加入していること、住宅ローンを組んでいるなら良い条件の団信保険に入っていること、実家の親が健在であることなどが安心材料になってきます。

 最近は、住宅ローン金利が上がり、物価も上昇しています。一時期、パワーカップルが高額なペアローンを組むことがはやりましたが、残念ながらペアローンを組んだ時点で共働きをやめることは不可能になりますね…堅実に、世帯主の収入だけで無理なく返済できるローンを組んでいれば安心です。実感としては、世帯主の収入×5ぐらいのローンであれば、毎月無理なく返済できる額です。おそらく、周辺で身の丈にあったアパートを借りたときの家賃と釣り合うのではないでしょうか。我が家は、当時の夫の収入×4でローンを組んだので、固定資産税を入れても周囲のファミリー向け賃貸よりずっと安く住むことができています。

 そして、金利が上がったとはいえ、毎月おなじ家賃を払うなら、賃貸よりも持ち家の方が専業主婦(夫)には圧倒的に有利です。(もちろん、地域によります。地価が異常に高い地域は除きます。)先に団信保険について述べましたが、配偶者が名義人だった場合は、死亡するとローンの返済が免除されます。また、条件のよい団信保険は、特定の疾病で就業不能になった場合にも返済が免除されます。住居費は家計の中でも大きな部分を占めます。住むところがひとまず保障されていれば安心ですね。

まとめ

 以上、〈仕事への未練〉〈家計〉〈家族の理解〉〈配偶者の収入が途絶えた場合の対応〉の4点をクリアーできるなら、子持ち共働きが専業主婦(夫)になることを前向きに検討して良いと思います。意外と、仕事を手放すことは可能なのに、不安と後ろめたさから躊躇している方は多いのではないでしょうか。冷静に考えると、むしろ、無理を重ねて仕事を続けることで、失うものの方が多いはずです。

 私は、かなり入念に準備してから、「自分自身の収入や社会的立場」と引き換えに、「家族との時間」を手に入れました。家や衣服を清潔に保ち、不足するものを買い、栄養のある食事を作り、子どもの登下校を見守り、一緒に遊び、勉強の仕方を教え、夫を労る時間です。

 忙しすぎて実感できなくても、間違いなく子どもと配偶者と過ごす20年程度の時間は、人生の中で最高に幸せな時間です。この期間を、魂をすり減らした状態で泣きながら過ごすのはもったいなさ過ぎると思いませんか?仕事と子育ての両立が難しい期間は、その中でも10年ほどです。子どもと配偶者が自分を必要としなくなったら、また働けばいいのです。確認と準備をしっかりして、自分が納得できる人生を歩めるといいですね。

 

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